能楽師・中所宜夫氏が、新井達矢氏の打った能面をつけて『殺生石』を演じます。張り詰めた集中力が生み出す、ライブならではの圧倒的な存在感で、観客を感動の渦に巻き込むことでしょう。
 また導入として、能については一家言持っている「リンボー先生」こと作家・林望さんの楽しいお話も聞けます。

2006.10/14(土)  14:00〜
●開場 13:30  開演 14:00
●ゆとろぎ大ホール
●入場料 全席指定 チケットのお求め
 一般(前売り)\3,200 (当日)\3,500  高校生以下 \1,200 
●未就学児の入場はできません/  一時保育あり(有料/要事前予約)
[物語]
 心を誘う雲水の浮世の旅に出ようよと、高僧玄翁と能力が奥州から都へ上る途中、下野(しもつけ:栃木県)の那須野の原へさしかかります。
 空を飛ぶ鳥が、とある石の上を飛ぶと落ちるので、不審に思って見ていると、野辺に似つかわしくない妖艶な里の女(前シテ)が現れ、その石は殺生石といい、その石は殺生石と言う恐ろしい石です。近寄ると人はもちろん鳥類や畜類までも命を取られてしまう恐ろしい石、命あってのものだね、近寄らないですぐに立ち退きなさいと注意します。玄翁が何故殺生をば到らんやと由来を尋ねると、女は、昔鳥羽院につかえていた玉藻(たまも)ノ前という女性がいた。彼女は、才色兼備の女性で、帝もお気に入りであったが、その正体は化生の者であった。帝を悩ませようと近づいたが、やがてその正体を阿部ノ泰成に見破られ、那須野の原の露と消えし跡が殺生石になった語ります。玄翁がかくも詳しく語る御身はいかなる人かと尋ねると、実は白分はいにしえの玉藻の前、今は殺生石の魂なりとあかし、夜になれば懺悔のため姿を現すと言い残して、石の中に隠れてしまいます。
<中入り>
 玄翁が花を手向け焼香し石に向かって仏事をなし、引導を与えると、石はたちまち二つに割れて、光の中から恐ろしい野干(狐・後シテ)の精が姿を現わします。

 野干(やかん)は、天竺(インド)では斑足太子の塚の神になり、大唐(中国)では幽王の后となって世を乱していました。日本へ渡り、この国をも滅ぼそうと帝を悩ましお命を取らんと玉藻ノ前という美女に変じて宮廷に上ったが、安倍泰成の祈祷で都を追われ、海山越えてこの野に隠れ住すむ。その後、勅使により那須野の化生の者を退治せよと勅を受け、三浦介・上総介に打ち取られた最期を再現します。



 両介は狩装束にて。両介は狩装束にて数万騎那須野を取り込めて.草をわかって狩りけるに。身を何と那須野の原に。現れ出ずるを狩人の。追っつまくっつさくりにつけて。矢の下に射っ伏せられて。即時に命をいたずらに.那須野の原の露と消えても.なほ執心は。この野に残って。殺生石となって。人を取る事多年なれども.今会いがたき御法を受けて。この後悪事をいたす事.あるべからずと御僧に。約束固き石となって。約束固き.石となって。鬼神の姿は.失せにけり。
※後シテ・野干は白頭になります。
[面]
 中所宜夫氏が舞う新井達矢氏制作の面です。
前シテ(里女) 後シテ(野干)
万媚(まんび)
平成17年作
泥牙飛出(でいきばとびで)
平成8年作
[補足]
 栃木県那須野の観光名所・殺生石。殺生石とは、火山や温泉の墳気孔付近の岩石につけられた俗称で、墳気孔から噴出する亜硫酸ガス、硫化水素、その他の有毒ガスのため鳥類や、昆虫類などが死ぬため殺生石と呼ばれ、中でも那須の殺生石はその伝説によって有名です。この石にまつわる伝説は“九尾の狐”伝説としても広く知られています。この“九尾の狐”伝説をテーマにしたのが能『殺生石』です。

 謡本を読んで観た方がより能楽を楽しめます。
 殺生石の観世流謡曲全文はこちら→
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羽村ゆとろぎ能
番組
お話 鑑賞の手引き 林  望
仕舞 
女郎花 観世 喜正
通小町 津村禮次郎
狂言
   蝸 牛
シテ・山伏 善竹 十郎
アド・太郎冠者 善竹 富太郎
アド・主人 善竹 大二郎
能 
    殺生石・白頭    
シテ・里女・野干 中所 宜夫
ワキ・玄翁道人 野口 能弘 
間・能力      善竹 大二郎
槻宅 聡
小鼓 森 貴史
大鼓 柿原 光博
太鼓 桜井 均
後見 津村禮次郎、 長沼 範夫
地謡 駒瀬 直也、 観世 喜正、 遠藤 和久、 奥川 恒治
遠藤 喜久、 鈴木 啓吾、 古川 充、  小島 英明
 
狂言「蝸牛」があります。なぜ、番組に入れたかは、羽村にちなんだ演目を探していたところ羽村には「まいまいず井戸」がありますので、それに因みました。
観世流能楽鑑賞会『殺生石』
中所宜夫が新井達矢の面を舞う
主催     羽村市生涯学習センターゆとろぎ 〒205-0003 東京都羽村市緑ヶ丘 1-11-5
企画・運営 ゆとろぎ協働事業運営市民の会 TEL 042-570-0707
Copyright (C) 羽村市生涯学習センターゆとろぎ協働事業運営市民の会
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Copyright (C) 撮影 村山 利夫
Copyright (C) 撮影 吉越 研
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